Q&A
1. 電子記録債権制度とは
電子記録債権とは、電子債権記録機関の記録原簿への電子記録をその発生・譲渡等の要件とする、既存の手形債権や指名債権(売掛債権等)とは異なる金銭債権です。
中小企業の資金調達の円滑化等をはかるために創設されました。「電子記録債権法」は、2008年12月に施行されています。
電子債権記録機関は、信頼性、業務運営の安定性、公正性・中立性の確保、他業のリスク遮断の観点から、主務大臣の指定を受け、「専業」の株式会社として設立されました。
記録機関は、主に記録原簿の管理や債権内容の開示業務を行う機関であり、電子記録債権の登記所のような役割を果たす電子記録債権制度の中核的な存在です。
権利内容・帰属の可視化、意思表示に関する第三者保護、善意取得および人的抗弁の切断などが手当てされています。
政府の2026年までの約束手形の利用廃止等の方針を踏まえ、紙の手形等からでんさい等の電子的決済サービスへの移行を推進しています。
2. でんさいネットとは
全銀協では、全銀システム、手形交換所といった決済インフラを企画・運営してきた実績があります。電子債権記録機関についても、銀行界が担うべき重要な社会インフラになり得ると考え、設立を決定しました。
でんさいネットの特長は、「手形的利用」、「全銀行参加型」、「間接アクセス方式」です。
〈支払い企業サイド〉
- 手形の発行、振込の準備など、支払いに関する面倒な事務負担が軽減されます。
- 手形と異なり、印紙税は課税されません。
- 手形、振込、一括決済など、複数の支払手段を「でんさい」に一本化すれば、効率化がはかれます。
記録事項の整理、債務者の単独手続きによる発生、譲渡人の信用補完、支払不能ルールの整備などを手当てしています。
手形代替に限らず、売掛債権への活用、「一括決済方式」への活用など、幅広い利用が想定されます。
3. でんさいネットの利用方法
社会インフラを指向するでんさいネットは、手形や振込と同様、全国の金融機関で利用できます。現在の取引金融機関をそのままご利用いただけます。
「でんさい」の利用に関しては、支払・受取ともに複数の銀行で利用することができますが、それぞれの銀行に利用申込を行う必要があります。
支払、受取ともに複数の口座を決済(支払および入金)口座として利用することができますが、口座ごとに利用申込が必要になります。
でんさいネットを利用するには、法人または個人事業主であることのほか、債務者としてご利用する場合は、当行による審査が必要になります。
屋号口座も利用できます。個人事業主は、個人インターネットバンキングではなく、法人インターネットバンキング(〈あきぎん〉ビジネスIB)の契約が必要です。
支払については支払期日の2営業日前に決済予定情報が電子メールで通知されます。受取についても電子メールで通知されます。
別途費用がかかります。詳細は「〈あきぎん〉でんさいネットご利用手数料のご案内」を参照ください。
〈平 日〉7:00~23:00
〈 土日・祝祭日 〉7:00~23:00
※ 1/1~1/3、5/3~5/5および毎月第2土曜日を除きます。
※ 当日付の記録請求は銀行営業日の15時までです。(15時以降は予約扱いになります。)
利用申込書および通帳届出印
※ 商業登記簿謄本、印鑑証明書、実印が必要となることがあります。
4. 「でんさい」の手形的活用
利用者番号や口座情報等で相手先を特定し、当行を通じて発生記録を請求します。この発生記録が行われると「でんさい」が発生します。発生日は1か月先までの日付を指定した予約が可能です。
債務者情報、債権者情報、債権金額、支払期日、決済方法などが記録されます。
記録内容は支払・受取ともに「でんさいネット」に接続して、パソコン画面で確認します。ただし、支払については、当行経由で発生記録請求した内容のみ確認可能です。
※ 発生記録請求=手形の振出(支払)のこと。
1か月先までの日付を指定した予約請求を行うことができます。複数の請求をまとめて行うことも可能です。
記録請求の通知を受けてもよい相手方を限定するための「指定許可機能」があります。
この機能を利用するには、「あきぎんでんさいネット利用申込書」で「指定許可利用」にチェックしてください。
いったん取消しして新規に発生させるか、間違った記録内容を変更する必要があります。
譲渡人(債権者)が譲渡記録請求を行います。譲受人(譲渡先)は、5営業日以内であれば、単独で譲渡を取消すことができます。
譲渡記録には、譲受人の氏名/名称・住所・決済口座情報等が記録されます。
「でんさい」の分割は、債権者が単独で行うことができます。分割先の債権(子債権)は必ず譲渡するルールとなっていますので、分割記録と譲渡記録は常にセットで請求されることになります。
分割記録は、分割元の親債権と分割先の子債権にそれぞれ記録されます。記録される事項は、親債権と子債権で異なります。
〈親債権〉
子債権の記録番号、減額後の金額
〈子債権〉
債権者の氏名/名称・住所・決済口座情報、分割後の債権金額、子債権の記録番号、親債権の記録番号
「でんさい」の分割の上限は1,000,000回です。
「でんさい」を譲渡する際は、原則として保証記録もセットで記録されます。したがっ て、「でんさい」を譲渡しようとする債権者(譲渡人)は、「保証しない」という特段の意思表示をしない限り、保証記録請求も併せて行ったものとして保証記録にその氏名等が記録されることになります。
譲渡を伴わずに保証記録を行おうとする場合は、債権者から保証人に対して保証の承諾を依頼し、承諾依頼の通知日から5営業日以内に保証人の承諾を得る必要があります。
(保証人は否認することもできます。また、承諾も否認もせずに5営業日を経過した場合は、否認されたものとして取扱われます。)
保証人の氏名/名称・住所・決済口座情報、債務者の氏名/名称・住所・決済口座情報等が記録されます。
保証記録に記載されている保証人が債務者に代わって弁済した場合に取得する権利です。民法上の求償権とは異なるため、特別求償権といいます。
発生済みの「でんさい」について支払期日や金額等の変更または債権の削除を請求することが可能です。ただし、請求後5銀行営業日以内(請求日を含む)に債権者および債務者の承諾を得る必要があり、得られない場合は自動的に変更記録請求は取り消されます。
変更する記録事項、変更原因、変更後の内容等が記録されます。
支払期日になると、債務者口座から債権者口座へ自動的に送金されます。振込手続きや手形の取立手続きのような面倒な手続きは一切不要です。
普通預金口座も利用できます。
支払期日当日から利用できます。交換日に資金化されない手形と異なり、「でんさい」のメリットのひとつです。
支払金額、支払期日、支払者の氏名/名称・住所・決済口座情報、支払内容等が記録されます。
「でんさい」の支払期日や金額、保証人等の記録内容を〈あきぎん〉でんさいネットを通じて照会し、開示を受けることが可能です。
債務者、最終債権者、保証人は、中間譲受人の名称等を除くすべての記録を開示できます。中間譲受人は、発生記録および自身が請求した記録についてのみ開示できます。開示権限者はあらかじめ決められていますので、取引内容を第三者に知られてしまう心配はありません。
でんさいネットでは、利用者が「でんさい」を安心して受け取れるよう、入口段階(利用者の審査)、中間段階(金融機関による利用制限)、最終段階(支払不能処分制度の整備)でそれぞれ対応を行っています。譲渡可能回数等を気にする心配もありません。
「でんさい」も、強制執行や滞納処分にもとづく差押えの対象となります。差押命令等の送達後、電子記録、弁済等が禁止されます。
相続が発生した場合、すべての記録請求が停止されます。相続人全員の同意のもと「相続時利用継続届」を提出した場合は、相続人による継続利用が可能です。
承継人が利用契約および当該利用契約にかかる「でんさい」のすべてを承継します。承継人は「利用者承継届」を提出し、当行の審査を経た後、引続き利用者として利用することができます。
災害や障害が発生した場合は、バックアップシステムにより業務を継続します。
利用者要件を満たさなくなった場合、利用契約は解除されます。その者が債務者等になっている「でんさい」が残っている場合は、新規の発生記録等が制限された後、利用契約を解除されます。
当行に「でんさい」を譲渡することにより、手形割引のように「でんさい割引」を行うことが可能です。ただし、「でんさい割引」には通常の与信取引と同様に当行所定の審査があります。
お問い合せ先
〈2023年1月10日現在〉